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さざ波様色素沈着(dirty neck)

アトピー性皮膚炎では、必ず皮膚症状の軽快と増悪を繰り返すため、十分な治療が行われていないと炎症後色素沈着が起こってしまいます。
さざ波様色素沈着」は、アトピー性皮膚炎に生じやすい網目状の炎症後色素沈着であり、「dirty neck」とも呼ばれています。

時々、「ステロイドを塗ったら皮膚が黒くなった」と誤解している患者さんがいらっしゃいますが、これは皮膚の炎症が治まっていく過程で炎症後色素沈着を生じているだけのことです。

dirty neck」の治療には、プロトピック軟膏(タクロリムス含有軟膏)が最も効果的です。
ステロイドの塗り薬は即効性があり、安全に使用できる薬剤であるためアトピー性皮膚炎の治療の基本となりますが、皮膚炎の治まった部位に長期使用していると皮膚が薄くなってしまう可能性があるため、症状によってランク(強さ)を変える必要があります。
その点、プロトピック軟膏には皮膚を薄くしてしまうような副作用がありませんので、長期間使用することで皮膚炎の再燃を予防することができ、炎症後色素沈着の軽快が期待できます。
つまり、「ステロイド外用剤で赤みを取り、プロトピック軟膏で皮膚炎の悪化を予防する」という使い方が、アトピー性皮膚炎の治療には理想的なのです。

かゆみや赤みが無く、「dirty neck」のみが目立っている場合には、ハイドロキノントレチノイン軟膏を併用してみるのも良いでしょう。
| 肌のあれこれ | 23:30 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
はじめまして。
「さざ波様色素沈着」の治療について質問させてください。

自分は約6年前に一度炎症がかなり酷くなる時期がありました。それが1年半ほど続いた後炎症の症状は良くなり、以降乾燥肌ではありますが肌は普通の状態です。しかし首・鎖骨のあたりを中心に、まさにさざ波様のうす黒いあとがくっきりと残ってしまいました。ここ2年ほど勧められてビタミンCの錠剤(シナール)を飲んでる以外は実質的に何もしてない状態です。以前よりは少し色が薄くなったと言われる事もありますが、やはり見栄えが良くないので治療を検討し、この事をなんと言うのだろうと思い調べてみた結果先生のブログに行き着きました。

私の今の状態はこの記事での「かゆみや赤みが無く、「dirty neck」のみが目立っている場合」だと感じたのですが、この場合にまず行う一般的な治療というのはハイドロキノンのみを使うのでしょうか?ハイドロキノンとトレチノイン軟膏を両方塗るという方法なのでしょうか?それともプロトピック軟膏を使用する(併用する)というやり方が一般的なのでしょうか?
またこれらの治療をするのならば何か条件のようなことはあるのでしょうか?
お願いします。
| 20代男 | 2010/03/04 8:01 PM |
「20代男」さんの質問に回答いたします。

アトピー性皮膚炎によって炎症後色素沈着を生じているのであれば、あくまで皮膚炎の悪化を予防することが治療の中心になります。
なぜなら、アトピー性皮膚炎は必ず皮膚炎の軽快と増悪を繰り返す疾患であり、その結果「さざ波様色素沈着(dirty neck)」のような症状に至っているからです。

すでに皮膚炎の症状は落ち着いており、「さざ波様色素沈着」のみが目立っている場合でも、タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)の外用を継続していくことで色素沈着の軽快が期待できます。

美容的な観点から、さらに強力な美白効果を期待する場合には、ハイドロキノンなどを併用することもあるでしょう。
確かに、ハイドロキノンだけでなくトレチノインを併用すると美白効果はより強力になります。

しかし、あくまでアトピー性皮膚炎の再燃を予防することが最重要であるため、安易にトレチノインなどを併用して皮膚の乾燥を招いてしまっては本末転倒です。
ですから、実際の症状を診察している皮膚科専門医などとよく相談して治療方針を決めるようにしてください。

以下のブログも参考にしてください。

「炎症後色素沈着」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=282181
「プロトピック軟膏の使い方」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=455198
「ハイドロキノン」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=203791
「トレチノイン療法」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=361906
| 副院長 | 2010/03/10 12:26 AM |
ここでのやり取りを見て一つ知りたいことが出来たので先生質問させて下さい。
「皮膚炎の症状は落ち着いており、「さざ波様色素沈着」のみが目立っている」状態ではプロトピックを使うことによって色素沈着の軽快が期待されるとの事ですが、ここでの軽快というのはように「『(首などに付いた)色』が薄くなる」ということなのだと思いますが、既に炎症はある程度改善した状態で使うことによってどうして色は薄くなるのですか?
難しい話でもかまわないので教えて下さい。
| zihenn | 2010/03/16 12:53 PM |
「zihenn」さんの質問に回答いたします。

ブログ本文中にも分かりやすく説明したつもりでしたが、もう一度詳しく解説いたします。

「さざ波様色素沈着」という臨床症状は、皮膚炎を何度も繰り返した結果の「炎症後色素沈着」であると考えられています。
しかし、アトピー性皮膚炎というのは、その定義にもあるように「増悪・寛解を繰り返す」ため、皮膚炎を繰り返しやすい部位には特徴的な色素沈着を残しやすい訳です。

皮膚炎の治療に使用されている薬剤は、主にステロイド外用薬とタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)の2週類です。
それぞれに利点・欠点がありますので、上手に使い分ける必要があります。

まず、ステロイド外用薬の利点には、分子量が小さいため皮膚に吸収されやすい点、即効性がある点などがあります。
つまり、皮膚炎を速やかに改善させるには非常に優れた薬剤です。

ところが、ステロイド外用薬は様々な強さにランク分けされており、必要以上に強力なステロイドの外用を続けてしまうと、皮膚炎は治まっても副作用が目立ってしまいます。
(ステロイド外用薬の作用・副作用については省略しますので、以下のブログを参照ください)
ですから、皮膚炎の症状が治まってきたら、それに応じてステロイド外用薬の使用量あるいは使用回数を減らしながら寛解維持療法を行います。

一方のプロトピック軟膏は、即効性や刺激感などの点でステロイド外用薬に劣るものの、ステロイド外用薬でみられるような局所的な副作用は出現しません。

また、皮膚のバリア機能を低下させることがなく、分子量も大きいため正常な角質層は透過しません。
言い換えると、ステロイド外用薬とは異なり、皮膚炎が治まって正常化した皮膚にはプロトピック軟膏は浸透しないのです。

つまり、皮膚炎を生じてきた部位には吸収されて効果を発揮するが局所的な副作用が現れず、正常な皮膚からは吸収されないというプロトピック軟膏は、ある程度症状が改善しているアトピー性皮膚炎の寛解維持療法に適していると言えます。

ステロイド外用薬だけでは、皮膚炎が再燃してから外用量や外用回数を増やすという繰り返しになってしまい、さざ波様色素沈着のような症状を改善するのは困難です。
しかし近年では、症状の悪化を予防するために週1〜3回程度プロトピック軟膏の外用を続けていくことが推奨されています。
これによって皮膚炎の再燃や繰り返しを抑制することが可能になり、炎症後色素沈着を生じにくくなる訳です。

以下のブログも参考にしてください。

「アトピー性皮膚炎」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=441189
「プロトピック軟膏の使い方」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=455198
「ステロイド外用薬の作用・副作用(その2)」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=983770
「ステロイド外用薬の作用・副作用(その3)」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=987245
「ステロイド外用薬の作用・副作用(その4)」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=993363
「ステロイド外用薬の分類(ランク)」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=1139944
| 副院長 | 2010/03/22 10:44 PM |
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