2017.02.07 Tuesday
暖房器具、低温やけど注意(日本経済新聞掲載記事)
住吉皮膚科で受けた取材記事が、先日(2月4日)の日本経済新聞に掲載されましたので、その一部を紹介いたします。
暖房器具、低温やけど注意
まだまだ寒さが続くこの時期、外出時に使い捨てカイロを用意したり、就寝時に湯たんぽや電気あんかなどを使ったりしたくなる。その際、注意したいのが「低温やけど」。心地よい程度の比較的低温でも、同じ場所を長時間温め続けると、皮膚に水ぶくれができたり、やけどのような状態になったりする。どんなことに注意すれば防げるのだろう。
皮膚を深く損傷 治癒に時間
住吉皮膚科(東京・墨田区)の住吉孝二院長は「東日本大震災時に、どこでも使えて環境にやさしい暖房器具として湯たんぽが注目された。使う人が増えるとともに低温やけどで受診する患者も増えた」と話す。
低温やけどは、比較的低い温度の暖房器具などに長時間接触していると起こる。これまでの研究でセ氏44度なら3〜4時間、46度では30分〜1時間、50度では2、3分間接触していると、発症する可能性があることが分かっている。
低温やけどを起こしやすい体の部位があることもわかってきた。足のくるぶしやスネ、額など、触ると骨が感じられる皮膚の薄いところだ。「こうした場所は暖房器具が皮膚を圧迫したとき血流が悪くなる」(住吉院長)と話す。皮膚に加わった熱は血液の流れで拡散するが、血管が圧迫されると熱がこもり、低温やけどを起こしやすくなるわけだ。
<中略>
一方、低温やけどは痛みなどをあまり感じないまま熱が加わり続けるため、皮膚の深い部分まで損傷しがちだ。やけどの重症度は損傷の深さに応じ1度〜3度に分類されるが、低温やけどは2度、3度が多いという。
湯たんぽやカイロ 直接・長時間は禁物
では、低温やけどはどうすれば防げるか。基本は暖房器具を体に直接当てたり、長時間あたったりしないこと。湯たんぽなどは専用の袋に入れるか、タオルなどで包む。さらに脇や足の間に挟む使い方は避ける。
特に危険なのは、暖房器具に触れたまま眠ること。湯たんぽなら、あらかじめ布団に入れておき、眠る前に外に出す。電気あんか、電気毛布も布団を温めるのに用い、電源は眠る前に切ろう。暖房器具の「使用上の注意」に記されている。
暖房器具を高齢者や子どもが使う際、家族らが気を配ることも大切。糖尿病などによる神経障害があると皮膚感覚が低下している場合がある。電気あんかなどを使う前に医師に相談しよう。
<中略>
冬を暖かく過ごすには、使い捨てカイロなどが欠かせないが、くれぐれも注意して使いたい。