2014.09.03 Wednesday
疥癬の新しい外用治療薬

疥癬の外用治療薬として、初めてピレスロイド系駆虫剤「スミスリン ローション」が登場し、先日(平成26年8月22日)から保険適応になりました。
これまでの疥癬治療は、イベルメクチン(ストロメクトール)という飲み薬が中心でしたが、何らかの理由で薬が飲めないという場合には、塗り薬という新たな選択肢が増えたことになります。
ただし、重症の疥癬である角化型疥癬や爪疥癬に対する有効性は確認されていません。
スミスリン ローションの有効成分であるフェノトリンは、殺虫剤として市販されているバルサンなどにも含まれており、殺虫作用があります。
スミスリン ローションを塗る際には、1回に1本(30g)を使い切り、首から足の裏まで(顔を除く全身)の皮膚に塗り残しが無いようにします。
塗った後は、12時間以上経ってからシャワー等で洗い流します。

スミスリン ローションは、連日外用する薬ではなく、1週間隔で使用します。
ヒゼンダニ(疥癬虫)の卵には薬が効かないと考えられ、卵が3〜5日で孵化することを考慮すると、1週間後に再び塗る必要がある訳です。
つまり、ヒゼンダニを完全に駆除するためには、少なくとも2回の外用治療が必要となります。
その後は、顕微鏡検査などを行い、ヒゼンダニが駆除されたことを確認します。
疥癬における痒みというのは、ヒゼンダニの死骸や糞などに対するアレルギー反応により生じます。
そのため、ヒゼンダニが駆除された後も痒みが継続する場合がありますが、顕微鏡検査にて新たな虫体や虫卵が見つからなければ、駆虫剤であるスミスリン ローションを継続する必要はありません。