2013.01.18 Friday
低温やけどにご注意!(農業共済新聞掲載記事)
住吉皮膚科で受けた取材記事が、一昨日(1月16日)の農業共済新聞に掲載されましたので、その一部を紹介いたします。
湯たんぽやカイロの出番が増える季節
低温やけどにご注意!
寒さが一段と厳しい季節は、湯たんぽや使い捨てカイロが重宝する。
しかし、心地よく感じる44〜50度くらいの温度でも、皮膚と長時間接すると「低温やけど」になる危険性があり、注意が必要だ。
<中略>
東京都墨田区の住吉皮膚科・住吉孝二院長に、低温やけどを防ぐ注意点などを聞いた。
長く熱源に接することで
内部深くまで損傷の恐れ
低温やけどは、数年前から特に増えています。
省エネ志向などで、湯たんぽの使用が増えているためと思われます。
特に冷え性の女性や、皮膚が薄い高齢者のほか、糖尿病を患っている人は、手足の末端の感覚が鈍く熱さを感じにくいので注意が必要です。
体温より少し高い温度で起こる
低温やけどは、体温よりも少し高い温度の熱源に長時間接して起こります。
皮膚の表面から入った熱は通常、血液の循環で全身に分散されます。
しかし、皮膚が熱源に圧迫されて熱の逃げ場が少ないとやけどになります。
症状を起こしやすいのは、皮膚のすぐ下に骨がある足のすねや甲で、皮膚が薄く弾力性が少ない高齢者は注意が必要です。
普通のやけどは、熱いものに触れた時に瞬時に離れようとするため、表面の損傷が最も大きくなります。
一方、低温やけどは、表面が赤い程度でひどく見えなくても、長時間熱源に接しているので、内部深くまで大きな損傷を負う重症の場合があります。
時間がたって皮膚が黒くなり、皮膚科を受診する人も多く、重症度は自分自身ではわかりにくいのです。
患部が潰瘍や壊疽(えそ)になると治療に時間がかかり、傷跡が残ることもあります。
低温やけどが疑われるときはまず熱源を外してよく冷やし、早急に皮膚科を受診してください。
プラスチック製もタオルを巻いて
最近はプラスチック製の湯たんぽが多く、誤使用が原因で低温やけどになるケースが増えています。
昔からの金属製の湯たんぽは、タオルで何重にも巻かないと熱くて触れませんでした。
プラスチック製の湯たんぽは、表面がそれほど熱くはならないため、何も巻かずに肌に長時間触れて、低温やけどの原因になっています。
湯たんぽはタオルなどで巻いて、あてる位置を変えながら使用してください。
同じ場所に長時間あてないようにします。
寝るときの寒さ対策では、事前に湯たんぽを布団に入れて温め、寝るときは出します。
高齢者が使用する際には、周囲の人が正しく使っているか確認してください。
使い捨てカイロも注意が必要です。
背中や腰など皮下脂肪が少ない場所に長時間あてていると特に重症化しやすくなります。
貼るタイプのカイロは衣類の上から貼り、上から押さえつけないようにします。
ポケットがついた下着にカイロを入れ、熱い状態を我慢して使ったために、やけどになった事例もあります。
ストーブなどでの火だこにも注意
また、厳密には低温やけどとは異なりますが、こたつやストーブなど暖房機器の熱に長時間あたって起こる「温熱性紅斑(火だこ)」にも気をつけてください。
いずれも取扱説明書をよく読んで、正しい使用を心がけてください。
<以下省略>