2012.02.27 Monday
爪の“割れ” や “変色” で悩んでいます

月刊「すこやかファミリー」2012年3月号の「女性のからだトラブル注意報」に、当クリニックでの取材記事が掲載されましたので紹介いたします。
爪の“割れ” や “変色” で悩んでいます
つけ爪やマニキュアなど爪のおしゃれを楽しむ人がふえています。
一方でそれらが原因となる爪のトラブルもふえています。
正しい知識で、指先のおしゃれを楽しみましょう。
●取材協力
順天堂大学医学部皮膚科非常勤講師
住吉皮膚科院長
住吉孝二先生
リムーバー(除光液)の使いすぎが
爪の乾燥を引きおこすことも
爪は指先を保護すると同時に、物をつかんだり、指先の微妙な感覚を察知するのに重要な働きをしています。また、足の爪は体重を支え、踏み込む力を強化する役割があります。
「つけ爪やマニキュアなどの爪のおしゃれは、多少なりとも爪に負担がかかることを理解しておきましょう」と、順天堂大学皮膚科の住吉孝二先生は指摘します。
爪は表皮の角質層が変化したもので、皮膚と同じケラチンというたんぱく質でつくられている皮膚の一部です。
「皮膚と同じように爪も乾燥しやすく、それがさまざまなトラブルの原因になります。また、つけ爪を剥がしたり、マニキュアを落とすリムーバーには、爪の水分保持能力を低下させる成分が含まれるため、これらの使用頻度が高くなると乾燥が進みやすく、もろくなります」(住吉先生)
乾燥による代表的なトラブルには、爪の先端から割れたり剥がれたりしてくる「爪甲剥離症:そうこうはくりしょう」があげられます。女性に多くみられる「2枚爪(爪甲層状分裂症:そうこうそうじょうぶんれつしょう)」もこの一種です。
<爪の構造>
目に見える部分が爪甲で、皮膚に隠れている部分が爪根部。
爪上皮はいわゆる甘皮で爪母を保護している。
爪は爪甲の根元にある爪母(爪半月)でつくられ、押し出される。
細菌感染のサインかも…
爪の変色にも要注意
乾燥などで爪がもろくなると、ダメージを受けた爪に雑菌が入り込みやすく、感染症のリスクが高まります。また、つけ爪では衛生管理の悪さや、つけ爪と自分の爪の間にできるすき間が、感染症のリスクを高める一因になります。爪に細菌が侵入すると、その細菌特有の色が爪に現れます。例えば、緑膿菌(りょくのうきん)が爪に侵入して増殖すると緑色の爪(グリーンネイル)になり、カンジダ菌などのカビの仲間である真菌に感染した場合は白く濁ってきます。
爪の変色に気づいたら、つけ爪やマニキュアの使用はやめ、変色した爪の周囲を清潔に保ち、入浴後などは濡れたままにせず乾燥させることが大切です。
「ただし、同じ真菌でも白癬菌(はくせんきん)による爪水虫(爪白癬)は内服薬で治療しないと治りにくいため、疑わしい症状がある場合には皮膚科を受診してください」と住吉先生は話します。
<爪甲剥離症>
爪の先端が皮膚(爪床)から剥離しているため、白くみえる。
<グリーンネイル>
緑膿菌に感染し、爪の一部分が緑色に変色している。
また、手足すべての爪に異常がある場合は、甲状腺機能亢進症をはじめとする全身的な疾患が原因となっている可能性もあるそうです。
きれいな爪に生え変わるには
時間がかかる
傷んだ爪が完全に新しい爪に生え変わるには「手の爪で約6ヵ月、足の爪では約1年かかります」と住吉先生。爪がもろくなりやすい人は、日ごろから次のことを心がけましょう。
日ごろの爪のお手入れ
●清潔を保つ
皮膚と爪の間の汚れは泡立てた石けんなどで優しく洗う。洗ったあとは水分をしっかり拭き取り、乾かす。
●爪の長さを整える
長すぎる爪は雑菌の繁殖を招きやすく、短すぎる爪は指先の保護が十分にできない。適度な長さに整える(詳しくは下記コラム)。
●保湿を心がける
爪とその周囲の皮膚に、水分や油分を補うネイルクリームや保湿クリームを塗ってマッサージし、乾燥を防ぐ。
<爪のおしゃれをする人は…>
ときどき爪を休ませよう
つけ爪やマニキュアを繰り返していると、爪が薄くなったり、もろくなったりするので、何もつけずに爪を休ませる期間をつくりましょう。
《爪の正しい切り方・整え方》
爪は長すぎず、短すぎず、適度な長さに整えることが大切です。
爪の切り方は、手足の爪で異なります。
-手の爪-
爪の下の皮膚が見えない程度の長さに、指のゆるいカーブに沿って切る。
とくに、爪の両端を深く切り過ぎないように注意。
少し丸めに整える。
-足の爪-
爪の先の白い部分は四角い形に切る。
手の爪のように丸く切ると、巻き爪の原因になることも。
白い部分が約1mm残るくらいが理想の長さ。
<甘皮はどう処理する?>
美容上、気にする女性も多い甘皮ですが、取りすぎると爪が変形したり凸凹ができるなどして、細菌感染をおこしやすくなります。