2011.01.25 Tuesday
日光角化症(光線角化症)
「日光角化症(にっこう かくかしょう)」とは、高齢者の顔などに生じやすい表皮内癌の一種(前癌病変)であり、近年では「光線角化症」と呼ばれることも多くなりました。
紫外線の刺激によって、表皮の細胞に異常を起こすのが原因と考えられています。
圧倒的に白人の高齢者に多い疾患であり、日本人でも紫外線に弱い(日焼けで真っ赤になりやすい)肌質の人に多くみられます。
日光角化症は、紫外線の影響を受けやすい顔〜首、手の甲〜前腕に多く生じます。
1ヵ所だけの場合もあれば、複数の日光角化症が生じる場合もあります。
見た目には、表面にカサカサとした角質や痂皮(かさぶた)を付着した紅斑としてみられることが多いようです。
角化傾向が強い病変であるため、角のような形状(皮角)になることもあります。
脂漏性角化症や慢性円板状エリテマトーデス、汗孔角化症、ボーエン病、有棘細胞癌、ケラトアカントーマなどと見分けにくい場合は、皮膚生検によって診断を確定することもあります。
病理学的には、ボーエン病と非常に似ている場合もあります。
外科的切除が最も確実な治療法なのですが、日光角化症は高齢者の顔に発症しやすいことから、液体窒素を用いた凍結療法が行われる場合が多いようです。
最近では、尖圭コンジローマの治療に用いられているベセルナクリーム(イミキモド)を外用するのも有効であるという報告があります。
日光角化症というのは前癌病変であるため、全く治療をせずに放置してしまうと、有棘細胞癌に進展する可能性があります。
また、紫外線が日光角化症の発症に関与しているため、サンスクリーン剤などによる遮光を心がけることが予防として重要であると考えられています。