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プロトピック軟膏って顔以外には効かないの?


アトピー性皮膚炎の治療薬として「プロトピック軟膏」が発売されてから、すでに10年以上が経過しました。
近年では、顔の症状に対するスタンダードな治療薬として定着してきています。

時々、患者さんからプロトピック軟膏って顔以外には効かないんですか?」という質問をされることがあります。

確かに、顔の湿疹に対しては非常に有効性の高い薬剤ですから、顔以外にも使用してみたいと思うのも無理はありません。
ところが、顔以外の皮膚には、プロトピック軟膏はあまり効果が無い場合が多いのです。

その理由として、薬剤の分子量という問題が挙げられます。
分子量というのは、皮膚からの薬剤の吸収(経皮吸収)を左右する重要な要素なのです。

分子量が小さい薬剤ほど皮膚から吸収されやすいのですが、分子量500を超えると健康な皮膚からの吸収が困難になると言われています。
ステロイド外用薬の分子量は約450〜500であるため、健康な皮膚からも吸収されます。
しかし、プロトピック軟膏(タクロリムス水和物)の分子量822であるため、湿疹や肌荒れの無い健康な皮膚からは吸収されにくくなってしまいます。

ちなみに、重症のアトピー性皮膚炎の治療として非常に高い有効性を発揮しているものに免疫抑制薬(シクロスポリン)の内服がありますが、シクロスポリンの分子量は1202であるため、健康な皮膚から吸収されないのはもちろんのこと、アトピー性皮膚炎の湿疹病変でも透過しないと言われています。

また、部位による経皮吸収の違いという要素も、プロトピック軟膏の効果に関係します。

皮膚が薄いため経皮吸収が良いと言われている顔の皮膚では、体の皮膚に比べて約10倍も外用薬の吸収率が高いと考えられており、手足の皮膚と比べると約50も吸収率が高いと考えられています。
そのため、実際にプロトピック軟膏を使用してみると、顔や首の皮膚には非常に良く効きますが、経皮吸収が良くない体や手足の皮膚にはあまり効きません

つまり、湿疹病変があるような顔の皮膚にはプロトピック軟膏がよく効きますが、湿疹病変が軽快すると徐々に経皮吸収が悪くなっていき、もともと経皮吸収の良くない顔以外の皮膚にはあまり効かないという訳です。

上の写真は、東京ディズニーシーで撮影したものです。
(撮影:住吉孝二
| 院長ブログ | 12:47 | comments(10) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
住吉先生
イーエックス・パートナーズの野川です。
昨日はご多忙のところどうもありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
| イーエックス・パートナーズの野川です | 2011/01/12 4:04 PM |
はじめまして。相談させてください。29歳女性です。
プロトピックで検索してこちらにたどり着きました。

当方、幼少から軽度のアトピーです。
年に数回アトピーが出る時に皮膚科に行くといった頻度です。
幼少期は肘や膝にアトピーが出ていたのですが、成人してからはかなり顔に出る様になりました。汗をかくとかゆくなり、首にも出でしまうこともあります。

そこで8年程前からプロトピックを使用しておりました。(いくつかの皮膚科で処方されました)
すぐに改善はするものの、お化粧もするせいか、良くなってはまた悪くなるの繰り返しでした。その度にちょこちょこと使用していました。(5gのチューブを年間1〜2本程度)

しかし、結婚もして妊娠を考え始めたので約1年前から使用をやめています。
はじめは、薬(プロトピック、ステロイド含め)に頼らずにアトピーを抑える事ができるのか・・・と不安でしたが、たまにアトピーが出るものの、日にちが立つにつれ収まり赤みも消え、かゆみも無くなるので、どうにか使わずに過ごせています。
当時はプロトピックに関して無知で何も考えていなかったのですが、今はネットで検索しても怖い情報ばかりが出てきて・・・長い間、簡単に使用してきた事を後悔しています。

そこで先生に質問なのですが、
・妊娠前に長期間使用していた事で、これからの妊娠に何か影響が出てしまうものなのか?
・どのくらいの期間で薬の効果(身体に残留するのか?)は消えるのか?

教えて頂ければ幸いです。お忙しいところ恐縮ですが宜しくお願い致します。

| mami | 2011/01/13 9:12 PM |
野川さん、先日は色々とありがとうございました。

今後ともよろしくお願いいたします。
| 院長 | 2011/01/17 9:57 AM |
「mami」さんの質問に回答いたします。

小児期には、肘の内側や膝の裏側などに湿疹を生じやすいのですが、成人になると、顔や首を中心とした上半身に湿疹を生じやすくなります。

私もアトピー性皮膚炎であり、もう10年以上毎日プロトピック軟膏を使用していますが、今のところ特に怖い情報というのは耳にしていません。

妊娠への影響については、他のほとんどの薬剤にも言える通り、妊婦への処方を行う実験が行われていないというのが現状でしょう。
そういう意味では、安全性の確認ができていないということになります。

私が知る得る限りでは、プロトピック軟膏を妊娠前あるいは妊娠中に使用していたことで、何か悪影響を生じたという話は聞いたことがありません。

なお、タクロリムス(プロトピック軟膏の主成分)の体内動態については分かりませんが、プロトピック軟膏は皮膚に浸透しにくい薬剤であり、体内(血液中など)に検出できるほど吸収される可能性は少ないと思われます。
| 院長 | 2011/01/17 11:34 AM |
本日診察していただいたものです。
プロトピックについて質問です。
顔の赤み部分及び皮膚がカサカサしている部分
(ほぼ顔全体になるとおもいます)
に塗っても大丈夫でしょうか?
おでこが少しヒリヒリしてきました。
今後ともよろしくお願いいたします。
| せい | 2011/01/31 5:15 PM |
「せい」さんの質問に回答いたします。

ブログ本文中にも記載した通り、プロトピック軟膏は、主に顔〜首の皮膚炎に有効性が高いと言われています。

ステロイド外用薬にみられやすい副作用(皮膚が薄くなる、毛深くなるetc.)を生じない点が一番の利点なのですが、約8割という高い確率でヒリヒリとした灼熱感のような副作用を生じてしまいます。
ですから、急に顔全体に外用するのではなく、徐々に様子をみながら外用する範囲を拡げていくようにしてみてください。

以下のブログも参考にしてください。

「プロトピック軟膏の使い方」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=455198
「プロトピック軟膏の適切な使用量」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=1197095
| 院長 | 2011/02/01 11:22 AM |
住吉先生

はじめまして。
プロトピックで検索をし、先生のブログを知りました。
勤務でご多忙の中、患者さん目線の多数のコメントを拝見し、すがる思いでメールをさせていただきました。

実は私は現在、妊娠11週目です。
顔と首にもともと軽度のアトピーがあります。
妊娠がわかっでプロトピックをやめたのですが、
それまで週一顔にちょんちょんと塗る程度でとても綺麗な
肌の状態を保っていたのですが(数ヶ月に1本程度)、
やめた途端ひどくなり、ステロイド(アルメタ、リドメックス)を代わりに塗布しても効かず、恥ずかしいのですが、顔がお岩さん状態です。人と顔を合わせるのも怖くなってしまいました。

産科医にも、近所の皮膚科医にも、プロトピックは妊娠中は使わないでと言われ、でも使えばこんなに苦しまなくて済むのに…と苦しんでいます。

先生の患者さんで、妊娠中にプロトピックを使用しながら無事出産された患者さんはいらっしゃいますか?
もう発売されて10年以上経つのに、まだ当初と妊婦への記載がかわらないままなので、もどかしい思いです。海外のサイトを見ると必ずしも禁忌ではないそうですが…

またもしデータがあれば教えていただきたいのですが、
胎児にはマウスの経口投与で異常がでたとのことですが、マウスの塗布実験というのは行われていないのでしょうか?
使いたいのに使えない、苦しい状態です。

お忙しいところ恐縮ですが、お返事いただけますとうれしいです。
| じゅり | 2011/05/05 1:33 PM |
「じゅり」さんの質問に回答いたします。

全ての薬剤について言えることだと思いますが、治療効果(その人にとって有益な作用)があれば、必ずと言って良いほど副作用(その人にとって不利益な作用)もあります。

プロトピック軟膏に関しては、妊娠に気付くまでを使用していたという患者さんは多数いらっしゃいます。
しかし、添付文書上には「妊婦または妊娠の可能性がある女性」は使用することができないと記載されています。
ですから、保険診療を行っている私のような個人の医師には、妊婦さんに対してプロトピック軟膏を処方することができないのは当然のことなのです。

なお、マウスなどを用いた実験に関しては、大量に全身投与したものしか聞いたことがありません。
妊婦さんで実験が行われることはあり得ませんので、プロトピック軟膏に限らず、妊娠中に安全に使用できることが確認されている薬剤がほとんど無いというのが現状なのでしょう。
| 院長 | 2011/05/10 10:32 AM |
住吉先生

いつもブログを拝見させていただいております。有益で理論的な内容を易しく説明して下さって、大変有難いです。

小児期よりアトピー性皮膚炎がある50歳女性ですが、プロトピック軟膏の顔以外(背中、上腕)への使用についてお伺いいたします。

10年ほど前に顔面にプロトピック軟膏を処方されたところ、大変効果があり、次第に顔面だけでなく、体の湿疹も治まりました。その後は、調子の悪い時だけ、顔面はプロトピック軟膏、体はステロイドを使用し、その使用頻度も年々少なくなり、ここ3年ほどはほぼ保湿剤のみで落ち着き喜んでおりました。

この夏、あせもの様な湿疹が出たものの、油断していたら上腕、胸、背中と湿疹が体に広がり久しぶりに皮膚科を受診しました。(顔面には全く湿疹は出ていません。)そこで先生から、まずはステロイド軟膏で炎症を抑えて、その後プロトピック軟膏を使って良い状態をキープするという治療を勧められました。私の様に顔面にプロトピック軟膏の効果があった患者には体にも効果が期待できること、最近では悪化する前のプロアクティブ療法としてプロトピック軟膏を使用することがあることなど説明していただきました。

私としては、顔面もプロトピック軟膏を使うようになってから格段に良い状態が保てているので、体にもそのような効果が期待できるのなら、使用してみたいとも思っております。

そこで先生にお尋ねしたいのですが

プロトピック軟膏の体への使用の有効性について、先生のお考え、データなどありましたらお聞かせいただけますでしょうか。

私の様に、体についてステロイド軟膏で状態がコントロール出来ていると思われる場合も、プロトピック軟膏によるプロアクティブ療法をする意味はあるのでしょうか?

お忙しいなか恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。
| アリ | 2014/08/13 7:40 PM |
「アリ」さんの質問に回答いたします。

私自身がアトピー性皮膚炎であり、過去に大学病院でアトピー専門外来を担当していた経験がありますが、アトピー性皮膚炎の体(躯幹)の湿疹に対してプロトピック軟膏をすすめた経験はあまりありません。
理由は、薬剤の分子量の問題と、自分自身の経験からです。

しかし、まれにプロトピック軟膏を体に使用して良好な状態を保っている方もいるので、その場合はプロトピック軟膏の継続をすすめています。
また、皮膚の薄い小児などでは、顔以外の湿疹に対してプロトピックをすすめることがあります。

それぞれ個人差がありますので、自分に合った治療法を選択して、湿疹の無い状態をキープできるように工夫していくべきなのでしょう。

以下のブログも参考にしてください。

「プロトピック軟膏の使い方」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=455198
「プロトピック軟膏の適切な使用量」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=1197095
「プロトピック軟膏によるアトピーの寛解維持療法」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=1197454
| 院長 | 2014/08/18 1:40 PM |
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