2010.04.29 Thursday
男性型脱毛症(AGA)治療ガイドライン
「男性型脱毛症(AGA)」とは、円形脱毛症のような病的脱毛ではなく、男性特有の薄毛(びまん性脱毛)を生じる生理的現象であり、思春期以降になると多くの日本人男性が経験すると言われています。
近年では、男性型脱毛症に有効な内服薬や外用薬が開発され、皮膚科専門医を中心に積極的な治療が行われるようになりました。
今月、新聞やテレビなどでも報道された通り、毛髪科学研究会との協力により日本皮膚科学会から「男性型脱毛症治療ガイドライン」が発表されましたので、その一部を紹介いたします。
男性型脱毛症治療ガイドラインでは、十分なエビデンス(根拠)があり、強く推奨されている男性型脱毛症の治療として「フィナステリド内服」と「ミノキシジル外用」が挙げられています。
すでに治療中の方々には周知の事と思いますが、この2種類の治療薬を併用するのが、国内における最も強力な治療と言えるでしょう。
「フィナステリド」は、男性ホルモンの代謝経路の一部を抑制する「プロペシア」という内服薬であり、皮膚科専門医などで処方されています。
最近では、爆笑問題を起用したテレビCMも放映されています。
ただし、女性の男性型脱毛症に対しては無効であったという報告があり、さらに妊娠中や授乳中には禁忌とされていることから、女性に使用してはならないと記載されています。
一方の「ミノキシジル」は、薬局やドラッグストアなどで「リアッププラス(RiUP PLUS)」あるいは「リアップX5(RiUP X5)」という商品名で市販されています。
ちなみに「リアップレディ」は女性の男性型脱毛症(女性型脱毛症)にも有効です。
「ミノキシジル」以外にも市販されている育毛剤は多数ありますが、十分なエビデンス根拠はありません。
男性型脱毛症治療ガイドラインでは、十分な根拠は無いが使用を考慮しても良いとされている育毛剤として、塩化カルプロニウム(カロヤンアポジカ、カロヤンガッシュ)、t-フラバノン(サクセス バイタルチャージ)、アデノシン(薬用アデノゲン)、サイトプリン・ペンタデカン(薬用毛髪力 イノベート)、ケトコナゾールが挙げられています。
根拠がないので勧められないとされている育毛剤として、セファランチン(薬用クロウ)が挙げられています。
この中で、塩化カルプロニウムとケトコナゾールは、それぞれ「フロジン液」と「ニゾラールローション」として保険診療でも扱われています。
また、フィナステリド(プロペシア)の内服やミノキシジル(リアップ)の外用を1年以上使用しても十分な効果が得られない場合には、次の選択肢として「自毛植毛術」または「かつら」を考慮すると記載されています。
「人工植毛術」に関しては、過去に多くの有害事象の報告があり、食品医薬品局では人工毛自体を有害器具に指定していることから、行わないように勧められています。
以上の対処法は、何らかの手段で医学的な検証が行われ、治療ガイドラインに記載されている訳ですが、実際には多種多様な育毛剤などが販売されているのが現状です。
ですから、市販の育毛剤などを使用する場合は、医学的な検証が行われている薬剤であるかどうかを確認することをおすすめ致します。
上の写真は、ドバイ・ジュメイラビーチで撮影したものです。
(撮影:住吉孝二)