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ステロイド外用薬の分類(ランク)


ステロイド外用薬とは、副腎皮質から分泌されるホルモンに類似した薬剤を人工的に作り出したものです。
成分に違いによって薬の強さが異なり、通常は以下のような5段階に分類されています。

強い
1群ストロンゲスト(Strongest)
2群ベリーストロング(Very Strong)
3群ストロング(Strong)
4群ミディアム(Medium)、マイルド(Mild)
5群ウィーク(Weak)
弱い

皮膚疾患の治療に使用されるのは、この分類の中で主に1群4群です。

強さの異なるステロイド外用薬を使い分けるには、いくつかの理由があります。

まず、皮膚病変(皮疹)の状態によって使い分ける必要があります。
例えば、熱傷火傷)などで急激に強い炎症反応が生じている場合には、短期間に強力なステロイド外用薬を使用するのが効果的です。
また、慢性化して皮膚が肥厚した湿疹(苔癬化)や痒疹などでは、強力なステロイド外用薬を長期間使用する必要があります。

次に、部位による吸収率の違いという点です。
顔の皮膚では、体の皮膚に比べて10倍もステロイド外用薬の吸収率が高いと考えられています。
そのため、一般に顔に塗っても良いとされているステロイド外用薬は、4群ミディアムあるいはマイルド)までの弱いものだけです。

逆に、ステロイド外用薬の吸収率が悪い部位には、手の平(手掌)や足の裏(足底)があります。
手掌足底には外用薬が浸透しやすい毛孔が全く無く、さらに角質が非常に厚いため、顔の皮膚に比べて50倍〜100倍も吸収率が低いと言われています。

また、年齢によっても吸収率が異なります。
小児乳幼児では、外用薬の吸収率が非常に高いと言われています。
一方、高齢者でも皮膚が薄くなっているために、外用薬の吸収率が高くなっていると考えられます。

そして、副作用の問題があります。
ステロイド外用薬には50年以上の使用経験があり、効果副作用も十分に分かっているため、他の外用薬に比べると安心して使用できる薬剤です。
しかし、必要以上に強力なステロイド外用薬不適切に使用していると、様々な副作用感染症の悪化皮膚が薄くなるステロイド潮紅酒さ様皮膚炎など)を生じてしまう可能性があるのです。

代表的な外用薬(商品名)には、以下のものがあります。

強い
1群デルモベートジフラールダイアコート
2群フルメタマイザーリンデロンDPネリゾナトプシムアンテベートパンデルなど
3群メサデルムリンデロンVボアラプロパデルムフルコートエクラーなど
4群リドメックスアルメタロコイドキンダベートなど
5群プレドニゾロン
弱い

これらの薬剤は全て異なる成分であるため、それぞれ作用の強さも異なります
皮膚科専門医は、この5段階に分類された薬剤をさらに細かく分類しながら治療に使用しています。
ですから、実際の症状を診察している皮膚科専門医の指示に従い、あまり自己判断をしないようにしましょう。
| 院長ブログ | 11:42 | comments(9) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
生え際にフケが出ていたことと、後頭部周辺がひりひりしていたため病院にいったところ、炎症を起こしているといわれ「パンデルローション10ml」を7本処方され全体に塗っても大丈夫といわれたんですが、ベリーストロングということで心配になってしまいました。どのくらい使いつずけていいんでしょうか?
よろしくお願いします
| マメ | 2011/04/10 6:41 PM |
「マメ」さんの質問に回答いたします。

ステロイド外用薬は、その種類によって効力(強さ)が異なるため、ブログ本文中に記載したようなランク分けがされています。
しかし、実際に使用しているステロイド外用薬が、強いか弱いかというのは、皮膚の状態によって異なってきます。

例えば、2群(ベリーストロング)に分類されているステロイド外用薬であっても、角質の厚い皮膚や激しい炎症のみられる皮膚においては、効力が不十分である(効力が弱い)可能性がある訳です。
ですから、現在の治療が強い治療であるのかどうか、診察をしていない私には判断することはできません。

実際の症状を診察して外用薬を処方している担当医と、よく相談されてはいかがでしょうか。

以下のブログも参考にしてください。

「ステロイド外用薬の作用・副作用(その2)」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=983770
「ステロイド外用薬の作用・副作用(その3)」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=987245
| 院長 | 2011/04/15 10:47 AM |
どこが発症元なのか分からないのですが、貨幣状湿疹が腕にひとつと、顔と首、耳に出来ていて、自家感作性皮膚炎と併発し、首と顔周りに赤い発疹が出ていてとても痒いです。
こちらに、顔には弱いステロイドと書かれていますが、処方されたのはパンデル軟膏でした。
大丈夫なのかとても心配です。
アドバイス頂けると幸いです。
よろしくお願い致します。
| ひろ | 2012/03/01 7:00 PM |
「ひろ」さんの質問に回答いたします。

私は、他の医療機関で行われている治療について、このブログ上で批評をするつもりは全くありませんが、一般には、顔の湿疹に対して第2群:ベリーストロング(Very Strong)クラスのステロイド外用薬を使用するのは避けるべきでしょう。
やはり、第4群:ミディアム(Medium)あるいはマイルド(Mild)クラスまでにしておくべきだと思います。

しかし、ステロイド外用薬の選択は、実際の皮膚症状に応じて判断される訳ですから、実際の症状を診察した担当医の指示に従うべきかも知れません。
詳しくは、診察をしてステロイド外用薬を処方した担当医に確認した方が良いでしょう。

以下のブログも参考にしてください。

「ステロイド外用薬の作用・副作用(その1)」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=978905
「ステロイド外用薬の作用・副作用(その3)」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=987245
「酒さ様皮膚炎」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=590920
| 院長 | 2012/03/05 11:50 AM |
体(お腹、背中、デコルテ)に脂漏性角化症があり、洋服に触れるとぴりぴりするような感じがすると皮膚科の先生に相談したら、ロコイド軟膏0.1%とゲンタシンクリーム0.1%と親水クリームを調合したクリームを塗るように言われました。ただ、心配なのは、他の皮膚科専門医の先生に、デコルテには扁平疣贅も混ざっていると言われたことです。扁平疣贅にはステロイドは良くないと聞いたことがことがあるので、心配になってしまって。
| りこ | 2016/11/02 12:08 PM |
「りこ」さんの質問に回答いたします。

脂漏性角化症は、加齢に伴って生じる皮膚の良性腫瘍であり、ステロイド等を外用しても特に効果は無いと思います。
一般的には、液体窒素による冷凍凝固法で治療を行います。

一方、扁平疣贅(青年性疣贅)というのはウイルス感染症ですから、ステロイドを外用してしまうと症状の増悪につながると思われます。

以下のブログも参考にしてください。

「脂漏性角化症」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=209238
「扁平疣贅」
http://blog.sumiyoshi-clinic.com/?eid=902150
| 院長 | 2016/11/07 2:26 PM |
5群のステロイドはプレドニゾロンとありますが、ある皮膚科のHPで5群は現在は単剤で扱っていないと書いてありました。

しかし他のサイトでは5群にはプレドニゾロンとコルテス軟膏が記載されています。どちらも今も皮膚科にはあるのでしょうか?それとも皮膚科によって違いがあるのでしょうか?
| びっと | 2017/03/21 5:13 PM |
「びっと」さんの質問に回答いたします。

こちらは7年以上前に書いたブログ記事ですので、第3群(ストロング)に分類されているプロパデルムは既に製造中止になっていますが、その他の分類に関しては変更が無いと思います。

一般に、皮膚炎等の皮膚疾患の診療で用いられる外用ステロイドは、第1群(ストロンゲスト)から第4群(マイルド)までであり、第5群(ウィーク)の外用ステロイドは粘膜病変に用いられることが多いと思われます。

実際の薬剤としては、プレドニゾロン軟膏あるいはプレドニゾロンクリームというのが第5群に分類されている外用ステロイドとして現在も存在しています。
コルテス軟膏は既に製造中止になっていると思います。

また、抗菌薬との合剤であるクロマイP軟膏、眼科用のネオメドロールEE軟膏には、更に低濃度のプレドニゾロンが配合されています。
| 院長 | 2017/03/22 11:07 AM |
ご回答ありがとうございます。
| びっと | 2017/03/23 12:25 AM |
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