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多汗症(わき汗、手汗など)

は、毛孔からではなく、エクリン汗腺と呼ばれる汗の腺から排出されます。
発汗は、主に体温調節のために行われていますが、皮膚表面の湿度を保ったり、細菌やウイルスから皮膚を守る働きもあると言われています。

多汗症」とは、日常生活に影響を及ぼすほど、エクリン汗腺から大量に発汗する状態を意味します。

多汗症には、全身の発汗が増加する「全身性多汗症」と、手掌(手の平)や腋窩(わきの下)といった特定の部位のみの発汗が増加する「局所性多汗症」があります。
全身性多汗症には、原因の分からない「原発性」と、甲状腺機能亢進症褐色細胞腫といった内分泌疾患などに合併して生じる「続発性」があり、局所性多汗症にも、原因が分からない「原発性」と、外傷などで副交感神経が損傷を受けて生じる「続発性」があります。

全身性多汗症に対しては、内服薬(抗コリン薬)での治療が行われます。
局所性多汗症に対しては、部位や症状に応じて、イオントフォレーシスボツリヌス毒素製剤の注射、交感神経ブロックなどが行われており、最近では外用薬の開発も進んでいます。

いわゆる「わき汗」は、他の部位と同様に温熱刺激に対して生じる発汗です。
つまり、暑いと感じた時に発汗するのですが、腋窩(わきの下)は他の部位よりも発汗開始の閾値が低くなっています。
そのため、それほど暑いと感じていなくても発汗が始まります。
なぜなら、腋窩には太い血管があり、発汗によって体温を下げるのに効率が良いからです。
しかし、腋窩多汗症は、腕にふさがれて蒸発しにくい場合があるため不快に感じやすく、発汗量が多いと見た目にも気になります。

このような「原発性腋窩多汗症」に対しては、2020年11月から外用薬(ソフピロニウム臭化物)が保険適応となっているため、医療機関で治療を行うことができます。
2022年5月からは、シート状の外用薬も保険適応に追加されています。

いわゆる「手汗」は、他の部位とは異なり、不安緊張などの精神的な刺激によって生じる発汗です。
つまり、暑いと感じて発汗することはなく、睡眠中も発汗が止まります。
ところが、精神的な負荷が少ないのに、手に大量の発汗が継続する病態があります。
このような手掌多汗症は、家族にも同様の症状がみられることが多く、遺伝的な要因もあると考えられています。

原発性手掌多汗症」に対する外用薬の開発も進んでおり、腋窩多汗症(わき汗)だけでなく、手掌多汗症(手汗)に対して外用薬による保険診療が可能になる日も遠くなさそうです。

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| 肌のあれこれ | 15:43 | comments(0) | - | pookmark |
爪囲炎

爪囲炎(そういえん)は、爪郭炎(そうかくえん)とも呼ばれ、爪周囲の皮膚(爪郭)に炎症を生じた状態のことです。

一般に爪囲炎は、急性爪囲炎細菌性爪囲炎)と慢性爪囲炎に大別されます。


急性爪囲炎とは、陥入爪(巻き爪)やササクレを剥いだりしてできた小さな傷から、雑菌(黄色ブドウ球菌など)が侵入して生じる化膿性の炎症です。
ですから、症状が悪化すると、爪の側面(爪郭)の皮内から皮下に膿が溜まり赤く腫れて痛みを生じるのが特徴です。

細菌感染に対する治療になるため、抗菌薬(飲み薬や塗り薬)が必要になります。
爪郭に膿が溜まって膿瘍を形成している場合は、メス等で切開して溜まった膿を出すことで痛みが治ります。

爪の裏側深くまで細菌感染を生じ、激しい痛みを伴う状態は、ひょう疽(ひょうそ)と呼ばれます。


一方の慢性爪囲炎は、手洗い水仕事の多い人に生じやすい、アレルギー性の炎症です。
手荒れによって爪上皮(いわゆる甘皮)が無くなってしまうと、爪と根元の皮膚との間に隙間ができます。
そこに、洗剤等の刺激物質が入り込むことで炎症を生じるようになります。
炎症が長引くと、爪に横溝を生じ、波板状爪のような爪の変形がみられるようになります。

さらに、緑膿菌などの雑菌やカンジダのような真菌(カビ)が、二次的に感染することで症状を悪化させることもあります。

基本的には、アレルギー反応を抑えるのが治療の中心となるため、ステロイドの塗り薬を使用します。
指先は手洗いなどで薬が落ちやすいため、頻繁に薬を塗る必要があり、テープ剤の使用や密封療法などの工夫も効果的です。

炎症の改善により爪周囲の皮膚が平坦化し、爪上皮(甘皮)が復活すると、徐々に綺麗な爪が出てくるようになります。
ただし、一旦変形した爪は、変形したまま指の先端に押し出されるだけで、元の形に戻ることはありません。
そのため、綺麗な爪に生え替わるまでには、さらに半年以上かかる可能性が考えられます。
| 肌のあれこれ | 10:38 | comments(0) | - | pookmark |
爪扁平苔癬

扁平苔癬(へんぺい たいせん)とは、躯幹や四肢といった皮膚だけでなく、口腔粘膜にも生じることが多い、難治性の慢性炎症性疾患です。

にまで扁平苔癬を生じることは多くありませんが、特定ののみに生じる扁平苔癬というのもあり、「爪扁平苔癬(つめ へんぺいたいせん)」と呼ばれています。


初期の爪扁平苔癬では、爪の表面に縦方向の凹凸爪甲線条)が多数形成され、爪が薄くなった部分はもろくなるため、縦に亀裂爪甲縦裂)を生じます。

爪の根元(爪母)での炎症が強いと、縦方向に瘢痕を形成することで、翼状爪と呼ばれる形を呈する場合もあります。

爪全体に強い炎症が続いていると、さらに爪は萎縮して薄くなり(爪甲萎縮)、爪の損傷が激しいと、完全に爪が無くなる状態(爪甲消失)に至ることもあります。


爪扁平苔癬は、いわゆる湿疹に伴う爪の変形とは異なるため、強いかゆみを生じることはありません。

しかし、他の扁平苔癬と比較しても治りにくいため、できるだけ早く発見して治療を開始することが重要です。

特に、症状が進行して爪甲消失まで至ってしまうと、治療による症状の改善は期待できません。


治療には、爪母での炎症を抑えるため、強力なランクのステロイド外用薬を用います。

薬剤の経皮吸収を高めるため、密封療法などの工夫も効果的です。

多数の爪に激しい炎症を生じている場合には、ステロイドの内服も併用する場合があります。


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| 肌のあれこれ | 16:00 | comments(0) | - | pookmark |
アトピックドライスキン(atopic dry skin)

アトピックドライスキンatopic dry skin)」とは、アトピー素因と呼ばれるアレルギーを起こしやすい体質を持っている人、あるいはアトピー性皮膚炎の人に特徴的な皮膚の乾燥症状です。

角質の水分量が低下しており、鳥肌のようなザラザラとした乾燥肌になります。

角層の水分保持能力が低下しているだけでなく、バリア機能低下しているため、ハウスダストや微生物が侵入しやすく、アレルギー反応が生じやすくなっています。

アトピックドライスキンを改善するためには、十分な保湿を行う必要があります。

塗る保湿剤の量が十分かどうかは、フィンガー・ティップ・ユニット(FTU)を参考にすると良いでしょう。

保湿効果のある外用薬(ヒルドイド等)は保険診療にて処方できますが、肌質や好みに応じて保湿剤の種類を選択するようにしてください。

当クリニックでは、DRXシリーズの保湿乳液「ADパーフェクトバリア」を取り扱っております。

アトピックドライスキンには、痒みを伴い、保湿だけでは治療効果が不十分な場合もありますので、皮膚科専門医の指示に従い、適切な皮膚炎の治療を行うようにしましょう。

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| 肌のあれこれ | 15:25 | comments(0) | - | pookmark |
アタマジラミ症

シラミ症」には、アタマジラミ(頭虱)の寄生による「アタマジラミ症」と、毛ジラミ(毛虱)の寄生による「ケジラミ症」があります。


<アタマジラミとは?>

アタマジラミは、成虫で体長約2〜3mmになる吸血生物で、頭髪に寄生して1日に5〜10個、一生で100〜200個の卵を産みつけます。

虫卵は、頭髪にしっかりと固着しているため、容易に除去することはできません

卵は1週間で孵化し、1〜2ヵ月後には成虫となって吸血を始めます。

吸血によってアレルギー反応が起こると、激しいかゆみを生じます。

寄生初期はかゆみを生じないことが多いため、かゆみが気になる頃には寄生から1ヶ月くらいは経っていると考えた方が良いでしょう。

アタマジラミ症は、頭同士の直接接触帽子の共用などで感染しますが、かゆみを生じていない時期にも感染が拡大するため、保育園幼稚園小学校などでの流行が問題になります。


<治療法は?>

1982年にシラミ駆除薬としてピレスロイド系駆虫剤(スミスリン)が発売され、これが国内で承認されている唯一の治療薬です。

卵には効果が無いため、2日おきに3〜4回使用する必要があります。

現在でも、スタンダードな治療薬(スミスリンシャンプー等)として効果を発揮しています。

ところが海外では、遺伝子変異によりピレスロイドが効かないアタマジラミの報告が年々増加傾向にあります。

国内でも、沖縄を中心にピレスロイド抵抗性のアタマジラミが確認されるようになってきました。

海外では、イベルメクチン(疥癬の内服治療薬として国内で使用中)含有ローションやジメチコン製剤が治療に用いられており、国内への導入や新規薬剤の開発が待たれる状況です。


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| 肌のあれこれ | 16:54 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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